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2024.10.18

STEM教育とは?メリットと国内外の事例を徹底解説

STEM(ステム)教育とは、IT社会グローバル社会に適応した国際競争力を持った人材を育成するための教育システムです。

科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4分野を統合的に学習しながら、「自主性」「創造力」「判断力」「問題解決能力」など、これからの社会を生き抜くために必要とされる「自分で学び、理解する」スキルを育てます。

本記事ではSTEM教育で得られるメリットや、国内外の取り組み事例、おすすめの教材などを詳しく解説します。

また、家庭で取り入れられるSTEM教育についてもご紹介します。

STEM教育とは何か

STEM(ステム)教育とは、IT社会とグローバル社会に適応した国際競争力を持った人材を多く生み出すための、21世紀型の教育システムです。

これからの技術開発においては、科学、技術、工学、数学など様々な分野に対しての広い知識はもちろんのこと、さらに自発的に学び理解し、発見していく力が必要とされています。

STEM教育では「自主性」「創造力」「判断力」「問題解決能力」など、これからの社会を生き抜くために必要とされる「自分で学び、理解する」スキルを育てるという狙いがあります。

単にテクノロジーの知識を詰め込むだけではなく、AIにはできないことができる人材や、コンピュータ産業ロボット産業主体的に伸ばしていけるような人材の育成を目標としており、STEM教育は子ども達の未来のため、ひいては社会全体の未来を創るための教育といえます。

STEM教育の定義

STEMとは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)4つの頭文字からなる造語です。

  1. Science(科学):実験、観察をもとに法則性を見つけ出すこと
  2. Technology(技術):最適な条件・しくみを見つけ出すこと
  3. Engineering(工学)しくみをデザインし、社会に役立つものづくりをすること
  4. Mathematics(数学)数量を論理的に表し使いこなすこと

STEM教育では4つの分野を連携させて統合的に学習することで、柔軟な思考力を養い、様々な発想で問題に対処できる人材を育成するという狙いがあります。

また、従来の教育システムのように受動的な授業ではなく、体験型・創造型の能動的な教育を行うことで、単に与えられた課題をこなすだけではなく、自ら問題点を見つけて解決していく力を養います。

STEM教育が注目される理由

現在では、世界各国でSTEM教育が推進されています。

その背景として、現代社会では多くの場面においてインターネットやAIをはじめとするIT技術、STEMの分野が深く関わっているという事が挙げられます。

例えば、スマートフォンなどの電子機器や交通機関の運行、気象予報など、私達の日常生活にこれらのテクノロジーは必要不可欠であり、未来を担う子ども達にはSTEM分野に関するスキルが強く求められています。

また、2020年度の学習指導要領の改訂により、多くの学校でSTEM教育の導入を開始していることも理由として挙げられます。

STEM教育の一環として、小学校ではタブレット端末を用いた学習やプログラミング学習が始まる事となりました。

学習指導要領への改訂では、いわゆる「理系」や「文系」と分け隔てることなく全ての生徒が様々な科目をバランスよく学び、学んだことを実社会での問題解決に活かせるような教育方法を推進しています。

「自発的に学んで創造する力」や「自ら問題を解決する力」STEM教育はこれからの社会を生き抜くために非常に重要であり、学校など教育現場ではもちろんのこと、家庭や地域社会においてもSTEM教育への関心・期待が高まっています。

STEM教育のバリエーション

STEM教育には、その他の教育要素を付け加えたいくつかのバリエーションがあります。

STEAM教育との違い

STEM教育とよく似た教育手法に、STEAM(スティーム)教育があります。

STEAM 教育はSTEM教育の論理的な思考に「ART(芸術)」「Arts(教養)」を追加した教育手法です。

「ものづくり」には知識だけでなく、想像力や表現力・教養が必要と考えられたことで生まれました。

STEAM教育では、人間よりもAIが活躍するのでは?と予想される未来において、人間にしかできないクリエイティブな発想や感性を伸ばす教育を目指します。

STEM教育から派生した教育手法

STREAM(ストリーム)教育

前述のSTEAM教育に「Robot(ロボット工学)」を追加した教育手法です。

今後は今以上に、ロボット技術に精通した人材が求められると予想されます。

STREAM教育では、ロボットのデザイン、組み立て、プログラミングまで一連のプロセスを学習し、問題解決力や論理的思考を身に付けていきます。

現在では子どもを持つ親からのSTREAM教育需要が高まっており、STREAM教育の一環としてロボット工学プログラミングについて学べるスクールや、遊びながらSTREAMについて知識を深められるロボット型の知育玩具などが人気を集めています。

eSTEM(イーステム)

eSTEMとは、STEM教育に「環境教育(Environmental education)」を加えた教育手法です。
科学技術の発展や工業化、AI化などテクノロジーが進歩すると同時に、森林破壊異常気象、地球温暖化や近代化による公害問題などが生じています。

eSTEM教育では技術面の向上のみならず、これらの社会環境に配慮できる人材の育成を目標としています。

GEMS(ジェムズ)

GEMSとは、「Great Explorations Math and Science」の略称で、数学や科学の学習において、自ら考え取り組む人材を育成する教育手法です。

GEMSでは「仮説」「研究」「概念の理解」「応用」というサイクルを用いて、子ども達が実験したい対象や方法を自ら決めるという手法が取られます。

野外活動やディスカッション、ゲームなどを通して仮説・調査・考察・発表を体験し、思考力や問題解決能力といった力を伸ばしていきます。

STEM教育の国内外の事例

国内・海外それぞれのSTEM教育はどのように取り組みされているのか?ご紹介します。

海外における主な取り組み事例

世界各国でSTEM教育に関する取り組みが本格化したのは2009年、オバマ政権下においてSTEM教育の強化が推進されたことがきっかけです。

以降アメリカではSTEM教育に数十億ドルを投入し、将来のリーダーや科学技術分野の人材育成、ひいては国際競争力の維持に注力しています。

また、EU諸国やオーストラリア、イギリス、中国やシンガポールなどのアジア圏においてもSTEM教育の重要性を認識し、国を挙げて積極的にSTEM教育を実施しています。

今や世界中の子ども達がパソコンやタブレット、プログラミングなどを通じてITやテクノロジーに触れる機会が増えています。

国内の取り組みと現状

2020年度からは小学校でプログラミング教育が必修化されるなど、日本でもSTEM教育の強化が進んでいます。

近年では埼玉大学にSTEM教育の普及や指導者育成のための施設が開設されたり、開理数系の教育に力を入れる高校を資金面で支援する「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」制度が始まったりなど、今後のSTEM教育の発展に期待が寄せられています。

しかし、地域によってはIT機器の導入やインターネット環境、教員のスキルに差が生じており、学校のICT(ネット)環境整備において多くの課題がある状況といえます。

一方で、民間の教育関連企業も教材にSTEM教育を取り入れたり、STEMについて体験・学習できるワークショップを開催したりと、社会全体でSTEM教育活動を積極的に取り入れる動きが見られます。

子ども向けのロボットプログラミング教室「ヒューマンアカデミージュニアロボット教室」では、受講者を対象とした全国大会を毎年開催しています。
日頃の学習成果を発表する場として、自身で作成したロボットと共に多くの生徒達が参加しています。

【参考】第14回 ヒューマンアカデミージュニアロボット教室全国大会

家庭でできるSTEM教育の実践方法

ここからは、家庭でできるSTEM教育の実践方法をご紹介します。

自宅でできるおすすめの教材

STEM教育関連の教材はどれもゲーム感覚で学べるものや、ものづくり、実験など様々な体験をするものとなっており、遊びの延長として気軽に取り入れられるものばかりです。

ロボホン(RoBoHoN):ロボット+プログラミング

出典:https://robohon.com/apps/robrick.php

ロボホン(RoBoHoN)は、楽しい会話や歌、ダンスが得意なコミュニケーションロボットです。

最新テクノロジーが詰まったロボホンの小さなボディを使って、自宅で楽しくプログラミング学習をすることができます。

専用のプログラミング学習アプリ「ロブリック」では、ブロック状のオブジェクトを組み合わせてロボホンの動作や対話などのプログラムを作成することができます。

ロボホンと一緒に遊びながら、楽しくSTEM教育に触れることができます。

LITALICO(りたりこ)ワンダー:ものづくり体験ができるオンラインスクール

LITALICOワンダーは、年長さんから高校生までの幅広い年齢層の子ども達を対象に、ゲームやアプリ制作、ロボット制作やプログラミングについて学べるオンラインスクールです。

3Dプリンターやレーザーカッター等の最新のデジタル工作機器を使用したデジタルファブリケーションコース等もあります。

子ども一人ひとりの個性や興味に沿う様々なコースが用意されており、将来の選択肢の幅を広げるきっかけづくりとしておすすめです。

STEM教育を活用した家庭でできること

STEM教育は遊びの一環として家庭でも取り入れることができます。

「教育」と身構えずに、遊びの中にSTEMの考えを取り入れ、子ども達の「もっとやりたい」という好奇心を引き出してあげるという事がポイントです。

創造力を高めるごっこ遊び

誰かを演じたり、何かを道具に見立てたりする必要のある、おままごとやお医者さんごっこ、お店屋さんごっこなどの遊びは子どもの創造力を育みます。

何もないところから自身のひらめきやアイディアで何かを生み出すという経験を積極的に重ねましょう。

「それはどんな色?」「どんな形?」など質問して、より詳細にイメージさせるのもいいですね。

数学的思考を身につけることができるカードゲーム

トランプなどのカードゲームは遊びながら自然と数の概念に触れることができます。
机に向かって黙々と勉強することは苦手な子も多いですが、カードゲームであれば楽しく数字に触れることができます。

時に、勝負に負けて悔しい想いをしてしまうこともありますがそれが大切な経験です。
勝つためにはどうしたら良いのか?という思考力を自然と育むことができます。

図形を視覚化できる折り紙やブロック遊び

自分の思い描いたとおりに物体を組み立てる、という作業を繰り返す折り紙やブロック、パズルなどはSTEM教育で重視される問題解決能力の向上に役立ちます。

「思った通りにできない」という場面に出くわしたときに、「どこに問題があるのか?」「形にするにはどう改善したら良いのか?」と試行錯誤を繰り返す事で自然と問題解決能力を鍛えることができます。

STEM教育のコンセプトは、「失敗を恐れずに何度でもチャレンジする」という事です。

そのため子ども達の取り組みに対して、「失敗だ」「理解できない」などと非難するような声掛けはしないように注意しましょう。

「結果よりもプロセスを評価する」「やり直してもいい」という考え方、行動がSTEM教育では非常に大切なポイントです。

STEM教育の将来と可能性

STEM教育が現代社会にどのような影響を与えるのか?STEM教育の役割や可能性を考えます。

未来の教育におけるSTEMの役割

現代社会においてインターネットやAIをはじめとするIT技術はもはや必要不可欠なものとなっています。

しかし、それらの技術は私達の生活を豊かにする一方で、適切に活用できなければかえって大きな不利益をもたらす危険性もあります。

STEM教育は未来を担う子ども達のITリテラシーを高め、テクノロジーの進歩に適応し、適切に活用するための能力を育てます。

また、問題解決力や創造力などSTEM教育で得られた多くのスキルによって、今までに見たこともないような画期的なサービスや新製品が誕生する未来も期待できます。

STEM教育は個人の未来を切り開くだけでなく、社会が発展していくためにも非常に大切な教育だといえます。

STEM教育による将来の可能性

STEM教育は、子ども達の未来のキャリアに大きな影響を与えます。

デジタル技術が進化する現代社会では、プログラミングやデータ解析などのSTEM分野のスキルが重宝されると考えられます。

医療、環境、エンジニアリングなど業界や場所を問わず様々な分野でSTEMの専門性をもつ人材のキャリアチャンスが広がると予想され、STEM教育は未来のリーダーや革新者を育てる大きな基盤となります。

まとめ

STEM教育は、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4分野を統合的に学び、テクノロジーに対応し、社会に貢献できる人材を育成するための教育システムです。

21世紀の技術革新には、広範な知識と創造的な思考が求められます。

単なる知識の詰め込みではなく、自発的な学習や問題解決力を養い、AIにはできない人間の独自性を育てることが重要とされています。

STEM教育では、従来型の受動的な教育ではなく体験型の教育を行うことで子ども達の柔軟な思考力や問題解決能力を育てます。

グローバル化やIT化に伴い、国内外で注目が高まっているSTEM教育は今後さらなる広がりをみせると予想されますが、学校のICT(ネット)環境整備が遅れているなど課題も残されています。

そのためまずは家庭で先回り的にSTEM教育を取り入れて、子ども達の持つ可能性を引き出してみてはいかがでしょうか。

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